わたしは見知った言葉たちをあたかも初めて出会うもののように物珍しく観察する子供であった。
日常
VRChatにWorldをつくって、簡単な仕掛けを入れたセットを組んで、動画をつくりました。
わたしはハッカドール1号ちゃんになる。わたしはわたしのアバターになったハッカドール1号ちゃんに、言葉を教える。
ふだんVRChatでは、ハッカドールちゃん1号をアバターにして、Worldを巡ったり、友人たちとお喋りをしたりしています。
自作アバターが欲しいという思いは常にありますし、服以外はモデリングしたのですが、アバターをつくる他にやりたいこと、やらなければならないことがあって続きをやっていない状況です。
(試しにMagicaVoxelでモンスターのようなアバターは作ってみましたが、まぁ可愛くはない。)
自分の身体がないというのが、VRChatをしているとコンプレックスに感じることがあり、といっても普段遊ぶ人たちもみな借り物のアバターなのですが、他のワイワイやってる日本人たちは自作アバターを持つ人も多く、借り物のハッカドールちゃんですら自分自身と認識しつつあるわたしは、それがアイデンティティになりうることを理解しています。
だから、間違いなくハッカドールちゃんにもそうとうな愛着はあるのですが、それ以外にも、わたしだけのアバター、完全にオリジナルのキャラクターを身にまといたいという願いはつきまといます。
ハッカドールちゃんはハッカドールちゃんであり、わたしではない。VRChatでのわたしといえば、ハッカドールちゃんの姿をしている。であっても、わたしがハッカドールちゃんの姿を借りているだけで、わたしはハッカドールちゃんではありません。VRChatでハッカドールちゃんのモデルで動き回るGUMBASEと名乗るあいつは、「ハッカドールちゃんの姿を借りている誰か」でしかありません。わたしはバーチャル世界で身体を持たない。
ハッカドール1号ちゃんMMDはほんとうによくできたモデルで、身体の造形もいいし表情も可愛い。喋るときの口元が特にかわいい。いまでもよく(VRChat内の)鏡の前で動いたり、喋ったりして、ハッカドールちゃんを眺めたり、自分の仕草を観察したりしています。
可愛いんですよ。ふだんからも、空中にカメラを設置して自分のほうに向けて、動きや表情を自分で確かめながら遊んでいます。そうして、わたしはいま可愛いかな、またこの可愛さは、他人からも可愛く見えているのかな、どうしたら可愛いかな、ということを頭の片隅で考えます。
ハッカドール1号ちゃんはもちろん可愛い姿をしている。しかし、問題はそれだけじゃなくて、ハッカドールちゃんで動いていると、自分自身が可愛い存在のような気がしてくるのです。ハッカドール1号ちゃんという身体はかわいい。ハッカドールちゃんの姿を借りながらも、可愛くいられるならばわたしは可愛い……。
ハッカドールちゃんが可愛いから……でしょうね、友人たちや、初めて会った人も、VRChatでわたしを可愛いと言ってくれる。ボイスチェンジャーを使っていますので、まれにボイスチェンジャーのことをよく知らなくて、わたしを本当に女の子と思ってくれる人もいます。女の子と思われることがあると、自分は可愛いんだという自信が持てるので、内心喜んでしまいますね。
まさか、バーチャル美少女として可愛いさを認められることが、自分の承認欲求を強く満たしてくれるなんて、考えたことなどありませんでしたよね。というか、バーチャル美少女になって毎日のようにバーチャル空間で遊びまわるなんてことすら、VRChatを知るまで想像の埒外にありました。
けれども、わたしのこの、ハッカドール1号ちゃんの身体は、どうしても借り物です。いくら可愛くても、わたし可愛いと喜んでいるわたしは、ハッカドール1号ちゃんではない。中で動かしているのはわたしだけれど、外見はわたし自身ではなく、声もボイスチェンジャーなので厳密にはわたしではない(でも、ちょっと練習して、女の子っぽい声で喋れる単語もいくつかありますよ)。
それでも、ハッカドール1号ちゃんの姿であり続けている。物質世界ではそれなりの年齢になってしまったし、物質世界の自分の外見も声も可愛さとは程遠いが、VRアバターのハッカドール1号ちゃんは可愛い。
ハッカドール1号ちゃんの身体はたしかに事実わたしではないものの、わたしのあたまはこれをわたしの身体として認識しつつある。という意味では、これはわたしの身体なのでしょう。借り物であっても、数か月使い続けたこの外見は、この身体感覚は、わたしのものになりつつある。やっぱり、この姿はわたしなのではないか。だってこの姿この声で生きているのは紛れもなくわたしなのだから。
動画の説明としては、これ以上は、この記事に書くことではないでしょう。
VRChatで精神に変調をきたしたということが界隈の外の人にはきっと理解しがたいと思うし、動画のコンテクストとして借り物の身体に所有感がうまれつつあるという心理の詳細は、逆にオリジナルアバターで生きている人にはわかりにくいかなと思いましたので、ざっくりと書きました。ただ、VRにはまった日本人オタクとしては、別段めずらしい状況ではないと思います。
この動画は、VRでの美少女の身体を借りた出発であり、日常であり、現在進行形の身体調整としての風景ではないかと思います。
(もちろん一番の合理的な説明は、VRChatでセットを用意して動画を作ってみる実験ということですが。)
ときのそら 完成
完成しました。
一か月で終わらせる予定でしたが、一か月半かかりました。
エアブラシ使ったので、マスキングテープを念入りに貼る必要があったんですが、これがなかなか大変な作業で。塗装箇所によっては一時間くらい貼ってたり。で、吹き終わってみるとわずかに隙間が残ってたりテープが浮いてたりして、色がはみ出してたり。
エアブラシも薄く作って何度も重ねてってやる(らしい)んですけど、失敗したときのリカバリーが意外に大変でした。削って吹き直すか、重ねてごまかすか、どうすればいいかわかりませんでしたがあわあわやってるうちにいつの間にか何とかしたんだと思います。
平日やるには時間も厳しいです。テープ貼って吹いて片付けて、というのを数時間でこなすというのは多少の慣れが必要なんだとわかりました。
台座は、以前ひと山数百円で買って余らせていた木で。
あん肝。
作業過程を撮り忘れたのですが、木を磨いて、水で溶いて絵の具を混ぜたファンドを刷毛で塗って、エアブラシ塗装。でやってみたのですが、毛羽立ちがすごくて、筆塗りでおさえました。
楽しかった!
ときのそら制作 途中過程 その2
塗装しました。
あとは台座作って完成でしょうか。
台座無しで高さ約20センチ。
組んでみると全体も細部も全てがバランス悪いのわかります。でもしょうがない。
あとうまく写真撮れない。手に持ってみるとキャラクターや作ったモノ自体への愛着のせいか角度によっては結構可愛いんですよ。
って気がします。もちろん実物には遠く及ばないけど。
リーリエよりはうまくできたかな。