チクル妄想工房

ガムベースの作ったものを載せたり、他人の創作物への感想を書いたりしています。

小説

潜像 DL販売

「潜像」のDL販売を開始しました。gumbase.booth.pm 画像は文フリで頒布した「潜像」と、「やがて僕の訪れる公園」の冊子(立ち読みのみ、頒布なし)です。 本作、手元に数冊の在庫があるのみで出展予定もないので、さらにほかの方に読んでもらう方法として、D…

箱庭の侵食されつつある境界

2011年に某文学賞に応募し落選した掌編です。~~~~~~~~~~ 天動説を主張していたころの僕らは、お互いの箱をあまりにも気安く行き来していて、実質、箱など存在していなかった。果てなくどこまでも続いている世界は、求めただけの景色を与えてくれる――そう信じ…

養殖少女にうってつけの日

タイトルの通りサリンジャーの某作品のパロディです。 連作の第一章になる予定でしたが、つまり、だいたい九本くらい書くつもりだったのですが、長い間放りっぱなしになっていましたので、アゲちゃいます。 【養殖少女にうってつけの日】 その晩、海沿いのホ…

真皮

すべて教わった通りにやった。妹はいつもそう言う。馬鹿にしているとしか思えないほど毎日毎日、同じ口調で言う。妹の失敗は些細なことだ。僕にとっては些細なことであるべきだった。 妹が失敗ばかりするのは僕のせいなのだと、ずっと考えていた。僕の教え方…

双子の天使

昔のものに加筆。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 いままでの人生でおれはいくつかの恋をした。おれの恋は桜色の鉛筆で綴られた甘く切ない小説ではない。ナイフとフォークで肉塊を削り取って作った彫…

兄妹の部屋・宇宙船

三題噺「引張応力」「だるま」「メッセージ」 ノリと勢いにまかせて書きました。 おもてで誰かの話し声がするよお兄ちゃん、と妹が部屋に入ってきた。僕は興奮して手を振り回し要領の得ない説明を続ける妹を椅子に座らせ落ち着かせると、分厚い緑色のカーテ…

妹小説

片側二車線の欅並木の大通りを自転車で十分のところに、どの方向から見ても立方体をした三階建てのデパートがあって、僕はとある漫画の週刊誌をその店で買う。それ以外は足を運ぶことのないその店は地下一階が食品売り場で、その日僕は妹に夕飯の買い出しの…

公園におけるアリサとの生活

この場所から動いてはいけない、木造りのベンチで僕ら二人は愛し合うこともなく、ただお互いの温度を服の上から探るように求めあうことしか許されない。悲しむことはない、これが僕の決断だったからだ。耐えなければいけない。彼女を欺いてまでして、ようや…

妹の日記念小説

妹の日のうちに書き上がるよう、大急ぎで書きました。9月6日は妹の日らしいです。残念ながらこちらに載せるのは日が変わってからになってしまいましたが、mixiでの公開は間に合いました。 という事情のため、推敲をしていないので、非常に粗いです。 三題…

ミルキーウェイでつかまえて

七夕小説です。 - 「もしあなたがこの話を本当に聞きたいのであればね……聞きたいのであればね、四郎。四郎? まずあたしが、どこでナニしたとか、あたしの少女時代どんなだったのかとか、あたしを生み出してくれたあなた、四郎? あなたが何をしたからあたし…

三題噺「アイマスク、スピード、乱獲」

「円環的幼女姦」 読み終えた単行本の小説を鞄にしまい、私は目を瞑った。それからしばらく意識を失っていたようだ。次に目を開けたとき、「私は公園の、石造りのベンチに寝転がって空を見ていた。大勢の子供の声が聞こえた」という文章がふいに思い浮かんだ…

三題噺「離陸、七夕、父」

私に向かって妻の浴びせる罵倒の数もその時間も短くなり、今日は一言も口を利かぬまま妻は先月から始めたスーパーマーケットのパートタイムに出かけた。私たちの関係は同じ屋根の下にいながら、出会う以前の他人という関係に立ち戻りつつあり、そのことに関…

三題噺「満員電車」「おでん」「とうふ」

「あなたに忠告する。本当にくだらない話であり、読むのは時間の無駄である」 Tの隣に立っている男の鞄から、Tもよく知っている人気アニメの脇役キャラクターの首がのぞいていた。その首が、というより二本の角の形をした奇妙な髪がTの尻のあたりを何度も刺…

三題噺「赤道」「画家」「虹」

mixiの三題噺お題作成ツールから 「赤道」「画家」「虹」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「七星(ななせ)の地球儀をとらないで」 七星が珍しく私のアトリエにやってきた。丁度そのとき私は煙草を吸…

夜道の休憩

帰り道を歩いていると街灯が点き始めた。車のライトがまぶしくて、ライトの陰から自転車が音もなく走ってくるが、向こうからは見えているらしく不思議とぎりぎりのところでぶつからなかった。僕が動くと自転車はあわてたようにハンドルを切るのが面白かった…

滲みた記憶

コーイチのくたびれた革靴は泥に濡れ、リノリウムを叩くたびに耳障りな粒が、黒く、ただでさえ黒い廊下をさらに黒く塗りつける。土の粒子は、光沢のある滑面とは相いれない。存在それ自体が、色という色を己の所有物だと主張しているみたいに深い影を落とし…

mixi三題噺お題作成ツールより「夜更け」「方位磁石」「胸のときめき」

私は公園の奥の、木の生い茂った暗がりに身を潜めている。幾人もの少女が私の視線に気付かずに、目の前の広場を笑いさざめきながら行き交う。彼女たちの脚が通り過ぎるたびに、私の胸は高鳴り、下半身の猛獣は血をたぎらせ激しく脈動する。真っ直ぐに生えた…

ゲイったらゲイだもん!

「先生、この問題がわからないんですけど」 「どれ」 「これです」 僕は教科書を指差した。先生の視線が僕の指先に集中する。――もちろん本当は指先ではなく、それが指し示す印字に、だ。 「問9です、因数分解まではできたのですが」 「これか、難しいよね。…

たわしの話2

次にりつ子さんに触ってもらえたのは一週間が過ぎてからだった。お母さんは靴の洗濯をりつ子さんにもう一度やらせたいらしく靴洗いを言いつけるお母さんの声を聞いた僕は風呂場でりつ子さんの姿が見えるのをいまかと待ち焦がれていた。静かな足音が近づいて…

mixi三題噺お題作成ツールより「小指」「諸行無常」

「夜の死」 いまこうして君の枕元にいるのが私だということが、不思議でならない。君はベッドの上で目を閉じている。私のことを畜生のように見るその大きな黒い目を、閉じている。こんな風に、君の前髪をそっと手ですくってみても、君は身じろぎ一つしない。…

花火

部屋の外で夏子が呼ぶ。僕は、お気に入りのスムースジャズをかけて、ロッキングチェアに腰かけて旅情小説をめくっている。さして内容は頭に入ってこない。優雅な時間が好きだった。扇風機は止めている。夕立が長引いたおかげで、窓から入ってくる風だけで今…

誰も忘れてなんかいやしない

膝ほどの角テーブルの向こうにある、皮が破れてスポンジが見えているソファをテーブル越しに、足でつつき、返す足で積んであったノートの山を崩す。私のノート。窓際の丸机にコップを置いて、本を読んでいた友人が、素足でテーブルを荒らされたことに対して…

たわしの話1(タイトル未定)

mixiの三題噺作成ツールで「たわし」が出たから書いてみた、たわしの話。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 りつ子さんは僕をつかんだかと思うと痛いと叫んで壁に叩きつけた。僕を掴めば毛先で肌を傷つけてしまうのは小さ…

モーニング・スタンダップ

目は完全に覚めていたけれど、僕は布団をかぶったまま、三十分くらいじっとしていた。窓の外は、衣擦れのようなかすかな雨音。下着はじっとりと汗ばんでいる。居間のほうから両親と妹の声が聞こえる。会話のなかにときどき僕の名前がまじり、僕のことを話し…

橋の下のおとぎ話

鉄筋コンクリートの小さな橋の下にもぐり、逢瀬を繰り返すのは、少女とその伯父であった。自分たち以外には誰もおらぬ、外界からは決して見えないところで、川面に映る薄暗い月光と、眩しさを感じるくらいの街灯の明かりを頼りに、わずか一時間にも満たない…

その喪失

麻里子の着替えを待つ間に友弘は、麻里子にうるさく言われていたのを思い出して、久々に髭を剃った。剃刀は百円で三本も入っている安い安全剃刀を使ったが、友弘が考えていたよりはずっと切れ味が良かった。友弘は、自分が髭を剃る最中に、間違って顎の皮を…

知らぬが姉妹

シスプリの二次創作小説です。 自分はシスプリを知って間もない新参者なため、キャラの性格が原作とかけ離れていると見受けられることもあると思います。ご容赦ください。主な登場人物【四葉、鈴凛、衛、花穂、咲耶、可憐、兄】 ******* 授業が終わり…