チクル妄想工房

サークル「小公園」の仮拠点です。ガムベースの作ったものを載せたり、他人の創作物への感想を書いたりしています。

書かれたもの

書き手にとっての「書きたいこと」と実際に「書かれたこと」はイコールでなく、その「書かれたこと」と読み手の「読み取ったこと」もイコールではない。
「文字」として現象してしまった「書かれたこと」の前に書き手はすでにいなく、そこに書き手の存在が残っているとすれば、書き手の「書きたいこと」がその裏側に「以前(書かれる前)はあった」ということだけにすぎない。
「書きたいこと」は、「書かれる前」に書き手のなかにあった。読み手の前にあるのは、読み手が読むべきものは、「書かれたもの」=「文字」であって、一度書き手から離れて死んでしまったもの、であり、それは読まれることによって、再び命を得る。
読み手が目の前にする「書かれたこと」はこれから「読まれるもの」として読まれ、読まれることによってはじめて意味を持つ。「文字」は「何らかの意味を持ち得るもの」であり、意味が意味として現れるのは「読まれること」によって、読み手のなかにおいてである。読み手の「読み取ったこと」として命が吹き込まれる。