チクル妄想工房

サークル「小公園」の仮拠点です。ガムベースの作ったものを載せたり、他人の創作物への感想を書いたりしています。

24話が楽しみです

 前半と後半。5話と22話。11話と23話。そして22話から23話の流れで、「アイドルとしての成功」が大きくなるほど「みんな一緒」にいることは難しくなってしまうってことを描いてくれました。
 「アイドルとしての成功」と「みんな一緒」は、アイマスを貫いてきた二つの柱です。いま、それらが対立しています。前々回の記事で「アニマスは絆というイデオロギーに支配されている」とかほざきましたが、23話ではしっかりとそこを崩していて、アイマスはどこまでも計算されていて、僕ごときの浅はかな心配事などとうに盛り込み済みだといわんばかりの緻密な構造を持っていることがわかります。崩すべきところをしっかりと崩したのですから、素晴らしいことです。自分が観てきたなかで最高のアニメだと思ってたつもりだったけれど、それでもまだ過小評価だったというのか。
 20話では千早を救いうるものとして「絆」が結局は完全肯定されていたけれど、千早を救う役目を請け負ったのが春香さんだったということに、22話23話を見ると、大きな意味があったことがわかる。春香さんは「みんな一緒」でなくなるとアイドルとしての自覚すら揺らいでしまうくらい、「みんな一緒」でないと駄目な子です。23話では「アイドルとしての成功」と「みんな一緒」との対立が、そのまま春香さんと他のみんなとのすれ違いに置き換えられて描かれている。でも、物語の視点は春香さんにあるんです。というのは、「アイドルとしての成功」と「みんな一緒」との対立では、「アイドルとしての成功」をストップすることはできないから、どうしても「みんな一緒」が崩れてしまうしかない。それを他のみんなは受け入れているけれど、春香さんだけはどうしても受け入れることができない。春香さんにとっては、みんなが受け入れてしまっていることも寂しい。みんなが「すんなり受け入れていること」が、すでに「絆」が消えかかっていることの兆候ではないか、と焦る。
 Pの事故の原因を作った春香さんは、自分の気持ちも行動も肯定する手段をなくした。Pの件についても、「みんな一緒」を守ろうとしたことも、春香さんは全然悪くなんかないけれど、それでもみんなと散々すれ違った挙句、Pの事故の原因を作ることになった春香さんが、元々の自己評価の低さもありますし、自分自身に正しさを認めることなどできないでしょう。となれば「みんな一緒」という理想も、春香さんから離れて、ぼんやり漂った状態になる。春香さん自身の今後のふるまいも心配ですけど、ここで「みんな一緒にアイドルとして頑張る」ことが、機能的に完全に失われてしまったのではないかと思います。春香さんが脱落するにしろ、仕事になるとは思えませんが仕事を続けるにしろ。それに、Pがいなくてはみんなの仕事がうまく回らなくなるでしょう。Pが負傷したとはいえまさか仕事を止めるわけにはいかないだろうし、Pのぶんの仕事をりっちゃんが請け負うのだとすれば、りっちゃんへの負担が増える。アイドルたち各自のやるべきことも増えるでしょう。Pのことも春香のことも、もしかすると美希のことも千早のことも心配するでしょう。精神的にも肉体的にもみんなの余裕はさらになくなります。そんな状況で「みんな一緒」や「みんな一緒を大切にしていた春香さん」が、果たして復活できるのでしょうか。それとも春香さんの失意をうけて、春香さんへの思い遣りからみんなの団結が強まるのでしょうか?だがそういう転換が起きるとすれば、それは「アイドルとしての成功」を一時的にしろ犠牲にするということです。それに美希がその仲間入りをするとは思えない。
 春香さんの話を脇に置いておくとすれば、765プロに変化をもたらしたPが退場したことで物語に逆の変化が訪れる、という構造をみることもできる。まあ、アイマスがそういうふうに物語を作るとは思いませんけれど。
 どうなるのだろう。というか、どうするのだろう。
 24話、明日です。