チクル妄想工房

サークル「小公園」の仮拠点です。ガムベースの作ったものを載せたり、他人の創作物への感想を書いたりしています。

ノベルゲームについてちょっとしたこと

 ノベルゲームってのは、小説に音楽と画像がくっついたもの、って認識が一般的かと思います。BGMと画像の使用について、ちょっとした違和感、というか不自由を感じましたので、ここに書いて置こうと思います。


 ノベルゲームを作る際、小説という形態からノベルゲームへと作り替えていく、という作り方をとる人もいると思います。その場合は、まず文字だけでできたテキストを完成させて、そこに絵と音楽を、テキストに修正を加えつつはめ込んでいく、という手順で作ると思います。しかし、絵と音楽はそれ自体で「何らかの表現をしてしまう」ものです。「常に表示されている・流れているもの」は「背景」とか「BGM」という呼び方をしますけれども、いくら「背景」であり「BGM」であっても、テキスト部分が表現する色々にプラスアルファする形で、「元々は表現されていなかったもの」まで表現してしまうことは避けられず、ときにはそれが「元々は表現したくなかったもの」であるかもしれない、と考えるのです。

 ノベルゲームというのは絵と音楽を付け加えられるようにできていますが、それは同時に付け加えることを強制されているということでもあります。なぜかと言いますと、絵や音楽を入れる枠が用意されている以上、「背景」や「BGM」は完全な「無」であることはできないからです。完全な「無」つまり「真黒い画面」とか「無音」を挿入するとそれ自体がひとつの演出、表現になってしまいます。だからノベルゲームというのは、テキストを本体とすると、本質的に、表現したくないものを表現してしまうものであると考えられます。

 あと「場面に合った云々」とはよく目に耳にしますが、テキスト主体のノベルゲームであるならば「文体にあった云々」という言葉が出てきて然るべきかなという気もします。

 ただ「場面に合った音楽を、背景を」というだけではなくて、「プレイヤーの想像力を掻き立てるような」とか、逆に「プレイヤーの感情の高ぶりを促すような」ということだけでもなくて、そられは基本的なことですし大切なことだと思いますが、その場面に文章以外の素材を「使用する」ことで生ずる全体への影響みたいなものをもうちょっと考えていけたらなと思います。