チクル妄想工房

サークル「小公園」の仮拠点です。ガムベースの作ったものを載せたり、他人の創作物への感想を書いたりしています。

レビューもまたなんでもあり

ぶらっく ばーど スィぎん
個人の 「感想」 は秘めるべきものか−Free Novel Games

「推測だけでいきなりエントリを上げるようなことなどせずに、御本人に直接確認」は、そうですね。勝手に勘ぐったのだと明記したとはいえ、推測でリンクを張ったのはよくなかったですね。
ただ、そういう事をはっきりさせたかったわけではないです。自分の考えをまとめるきっかけになって丁度よかったというのが大きいです。


「多分、作者はそんな事考えてないよ」ということについて考えることは、作品を読む、感想を書くということに際して、かなりの割合でついてくるんじゃないかなと僕は思います。作品を読むということは、必ずしも「作者の意図」を読み取ることではないからです。作者のご機嫌取りのために読むわけでもないです。
「多分、作者はそんな事考えてないよ」ということについて考えることを道玄斎さんが倫理的に否定しているとは思わないし、akinoさんがいう「結局のところ、Free Novel Game 作品はあくまで「制作者のもの」で、その内容をどう捉えるのかも、ある程度、製作者の意向に沿うものでなければならない、というのが、この業界の「暗黙のルール」なのだろう。」という御見解には同意しかねるといいますか、大多数がそうである、とは感じていません(もちろん僕の見解が間違っているかもしれないが)。

僕は内容について訊かれれば答えられる範囲で答えますし、答えた時点で覚えている限りにおいてそれが「作者の意図」なわけですが、そういう行為は「この作者の言っていることはおかしい。ちゃんと書けてない」ととられる、あるいはバレる危険性もある。akinoさんのとき、そうだったように。

ただ、読者が好き勝手書いたとして、作者が他人の感想を読んで「それは違うなあ」と感じることはある、と考えます。僕もある。作者でなくても、他の読者が「この人は妙なことを書いている」と感じることだってありますね。akinoさんの言葉でいうと「(客観的に見て)見当違いで底の浅い解釈を自信満々に垂れるというのは、自らのオツムの程度を自分から示すことにもなる。」ということですね。でも、それはそれでいいわけです。たいていの人は、どんな作品でも完璧に読み解けるということはない。
「読み解く」なんて言葉で書いてしまったけれど、「読み解く」とはそもそもどのようなことかも僕にはわからない。感想が考察が「見当違い」かどうか、誰がどんな基準で判断するのか?

レビューは「技術論・構造論的な指摘」だっていいと思いますよ。作品に現れているものがすべて作者の意図したものとは限らないわけです。例えば道玄斎さんは「フリーサウンドノベルレビュー 番外編 『ニートと呼ばないで』」この記事で「動物報恩譚」という物語のパタンを出していますけれど、

それって、こうした話のパターンが持っている力、みたいなものもあると思うんですよ。
前述の通り、本作も、動物報恩譚の典型的なパターンですけれども、読んだ時に、「本作に於ける動物報恩」だけで感動している、っていうよりも、長年熟成されてきた「動物報恩譚のイメージ」みたいなものが、プレイヤーの心の中に底流していて、それを触発させてくれる、というか、そんな印象があるのですが如何でしょうか?

これは構造論的な指摘ということになるのだと思いますが、このような効果を作者が想定しているかといったら、さてどうだろうな、と思います。同パタンの他の物語との差異によって描きたいことがあったのかもしれないし、知っていたから利用したというだけかもしれないし、まったく独自のアイデアのつもりで書いたのかもしれない。作者のどんな意図により物語があるパタンを取ることになったかなんてわからない。それに、作者の意図した以上の現象が生まれることはぜんぜんふつうのことでしょうし。
ちなみに、この作品は面白かったです。

「文章力がある・ない」だの「物語の流れがスムーズ」だの「このキャラクタが良かった」だの」だけじゃ面白みに欠けるというのは同感ですが、僕もそういったものではないレビューというより感想やら批評やらのほうが魅力を感じますが、それは作者の意向に沿った指摘でなければいけないというルールに沿ったものだから、というわけではないのではありませんか。単にそのレビュアーのレビューの方針なのではないでしょうか。(事実どうだか知りませんが)もし数多のレビューがそういうものばかりなのだとしたら、それはネット上のレビューにテンプレが出来あがってるんでしょう。何らかの意図をもって自覚的にその方式で書かれている方は別として、書き手の想像力の問題でしょうね。

読み取れることを読み取って、何でも好きなこと書いたらいいんじゃないかな(作者をひどく侮辱するようなこと書かなければ。レビューに限らない一般的なマナーとして)と、漠然とそんなふうに考えます。
アニメでも小説でも映画でもゲームでも、ニコニコのアイマス動画でも何でもそうですね。僕ももうちょっとちゃんと読む力があったらいいなあ、と思います。