チクル妄想工房

ガムベースの作ったものを載せたり、他人の創作物への感想を書いたりしています。

ダスト・シュートのゆくえ

『ダスト・シュートのゆくえ』(ふりーむ)
作者HP リトル・キャンドルライト

掌編SFノベル。
単調な数枚の背景と数曲のBGMだけの演出で、これだけ読ませるものなのか。

舞台背景であるとか、「ダスト・シュート」という競技がどのようなものであるかとか、少女や賭博師の個人史とか、そういった物語舞台を把握する下地となるだろう事柄は一般的な説明に留めて、具体的な部分の解説をできるかぎり排除したような文章で、登場人物がどのように「ダスト・シュート」を見ているかとか、そうして何を思ったのかとか、そういうことを書いている。
この作品、文章で書かれている事物は、書かれているものが何であるかは書かれているけれど、どのようなものであるかは、だいたいこのようなものである、という書き方になっていて、具体的に仔細に説明されないというのが印象的だった。そういうふうにかなり徹底されていたと思う。舞台はこの現実世界ではないのだから、物語に登場するあれこれは、我々の見なれないものであって映像的に正確に把握できないだろうもののはずなんだけど、そういう部分を意識させないように書かれている。これが文章力というやつか。