2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧
「夜の死」 いまこうして君の枕元にいるのが私だということが、不思議でならない。君はベッドの上で目を閉じている。私のことを畜生のように見るその大きな黒い目を、閉じている。こんな風に、君の前髪をそっと手ですくってみても、君は身じろぎ一つしない。…
部屋の外で夏子が呼ぶ。僕は、お気に入りのスムースジャズをかけて、ロッキングチェアに腰かけて旅情小説をめくっている。さして内容は頭に入ってこない。優雅な時間が好きだった。扇風機は止めている。夕立が長引いたおかげで、窓から入ってくる風だけで今…
膝ほどの角テーブルの向こうにある、皮が破れてスポンジが見えているソファをテーブル越しに、足でつつき、返す足で積んであったノートの山を崩す。私のノート。窓際の丸机にコップを置いて、本を読んでいた友人が、素足でテーブルを荒らされたことに対して…
mixiの三題噺作成ツールで「たわし」が出たから書いてみた、たわしの話。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 りつ子さんは僕をつかんだかと思うと痛いと叫んで壁に叩きつけた。僕を掴めば毛先で肌を傷つけてしまうのは小さ…