チクル妄想工房

サークル「小公園」の仮拠点です。ガムベースの作ったものを載せたり、他人の創作物への感想を書いたりしています。

2010-01-01から1年間の記事一覧

mixi三題噺お題作成ツールより「夜更け」「方位磁石」「胸のときめき」

私は公園の奥の、木の生い茂った暗がりに身を潜めている。幾人もの少女が私の視線に気付かずに、目の前の広場を笑いさざめきながら行き交う。彼女たちの脚が通り過ぎるたびに、私の胸は高鳴り、下半身の猛獣は血をたぎらせ激しく脈動する。真っ直ぐに生えた…

ゲイったらゲイだもん!

「先生、この問題がわからないんですけど」 「どれ」 「これです」 僕は教科書を指差した。先生の視線が僕の指先に集中する。――もちろん本当は指先ではなく、それが指し示す印字に、だ。 「問9です、因数分解まではできたのですが」 「これか、難しいよね。…

たわしの話2

次にりつ子さんに触ってもらえたのは一週間が過ぎてからだった。お母さんは靴の洗濯をりつ子さんにもう一度やらせたいらしく靴洗いを言いつけるお母さんの声を聞いた僕は風呂場でりつ子さんの姿が見えるのをいまかと待ち焦がれていた。静かな足音が近づいて…

mixi三題噺お題作成ツールより「小指」「諸行無常」

「夜の死」 いまこうして君の枕元にいるのが私だということが、不思議でならない。君はベッドの上で目を閉じている。私のことを畜生のように見るその大きな黒い目を、閉じている。こんな風に、君の前髪をそっと手ですくってみても、君は身じろぎ一つしない。…

花火

部屋の外で夏子が呼ぶ。僕は、お気に入りのスムースジャズをかけて、ロッキングチェアに腰かけて旅情小説をめくっている。さして内容は頭に入ってこない。優雅な時間が好きだった。扇風機は止めている。夕立が長引いたおかげで、窓から入ってくる風だけで今…

誰も忘れてなんかいやしない

膝ほどの角テーブルの向こうにある、皮が破れてスポンジが見えているソファをテーブル越しに、足でつつき、返す足で積んであったノートの山を崩す。私のノート。窓際の丸机にコップを置いて、本を読んでいた友人が、素足でテーブルを荒らされたことに対して…

たわしの話1(タイトル未定)

mixiの三題噺作成ツールで「たわし」が出たから書いてみた、たわしの話。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 りつ子さんは僕をつかんだかと思うと痛いと叫んで壁に叩きつけた。僕を掴めば毛先で肌を傷つけてしまうのは小さ…

モーニング・スタンダップ

目は完全に覚めていたけれど、僕は布団をかぶったまま、三十分くらいじっとしていた。窓の外は、衣擦れのようなかすかな雨音。下着はじっとりと汗ばんでいる。居間のほうから両親と妹の声が聞こえる。会話のなかにときどき僕の名前がまじり、僕のことを話し…

橋の下のおとぎ話

鉄筋コンクリートの小さな橋の下にもぐり、逢瀬を繰り返すのは、少女とその伯父であった。自分たち以外には誰もおらぬ、外界からは決して見えないところで、川面に映る薄暗い月光と、眩しさを感じるくらいの街灯の明かりを頼りに、わずか一時間にも満たない…

その喪失

麻里子の着替えを待つ間に友弘は、麻里子にうるさく言われていたのを思い出して、久々に髭を剃った。剃刀は百円で三本も入っている安い安全剃刀を使ったが、友弘が考えていたよりはずっと切れ味が良かった。友弘は、自分が髭を剃る最中に、間違って顎の皮を…

知らぬが姉妹

シスプリの二次創作小説です。 自分はシスプリを知って間もない新参者なため、キャラの性格が原作とかけ離れていると見受けられることもあると思います。ご容赦ください。主な登場人物【四葉、鈴凛、衛、花穂、咲耶、可憐、兄】 ******* 授業が終わり…

よみがえる思い出

www.freem.ne.jpガムベースが制作したノベルゲームです。*ゲーム説明 プレイ時間10分から30分程度の短い話です。 青年時代に出逢った少女への恋を男が追想していく物語です。 選択肢なし。