チクル妄想工房

サークル「小公園」の仮拠点です。ガムベースの作ったものを載せたり、他人の創作物への感想を書いたりしています。

アイマス17話よかったじゃないですか←18話ですねサーセン

 今季見ているアニメはアイマスピングドラムです。
 アイマス面白いですね。非常に良くできてると思います。


 感想です。ちょっと前の話になりますが、18話。まごうことなき律子回でした。
 律子って、ここまでの回でへまやらかしたことってありませんでしたよね。ライブ当日の台風は自然災害でしたし、美希に関しては律子は何も悪くなかった。唯一弱さを見せたのは、竜宮小町のテレビ初出演で内心緊張していたらしい描写があったくらいですか。些細なものです。弱さを隠そうとしているというわけでもなく自然に気張れるんですね、律子は強い子です。
 そもそも前半はPがしばしば失敗やってて、「律子と竜宮小町」と「Pと他のアイドル」という対比構造ができていたかと思います。一足先にデビューした竜宮小町にみんな追い付け、といった感じで。6話なんかではダメPとデキる律子の直接の対比もありました。アイドルたちは13話で小町に追いついて、前半戦終了でしたね。と、律子はアイドルたちの一歩先を歩く竜宮小町をデビューさせ、大きな問題なく引っ張っていったデキるプロデューサーとして活躍してました。
 今回はりっちゃん主役回、りっちゃんがアイドルに戻っちゃうお話でした。りっちゃんは昔にアイドルをやっていたことを内緒にしたがっていて、1話などでその様子は見られますが、アイドル活動に未練はなさそうなんですね。今回もあずささんの急病で代理が必要になって、歌もダンスも覚えていてステージに立った経験もある律子がたまたま適任者だったという事情で、不本意ながら再びステージに立つことになったのでした。体力の衰えもあったでしょうし、ダンスの感覚も鈍ってしまっていたでしょう。久々のアイドル活動に苦戦しているようでした。
 リハーサルで客席にひしめく竜宮小町の大勢のファンを想像し、ステージで踊る小町を想像し、りっちゃんの動きは止まってしまいました。深夜に公園でダンスの練習をしているとき、偶然通りかかった小鳥さんに話していました。「私がアイドルやってた頃より、伊織も亜美もずっと先を走ってるんだなあって。そんなあの子たちと同じステージに立つんだって思ったら、何だか……」りっちゃんはどんな気持ちでこの言葉を語ったのでしょうか。自分の意思でアイドルを止め、プロデューサー業に転向したりっちゃんは、一日限りとはいえ図らずもステージに立つことになった、それも自分がかつて活動していた頃よりもずっと大きな舞台に、唐突に放り込まれてしまった。実感がまるでないといった気分だったでしょうか、それとも自分にはふさわしくないと思ったのでしょうか。わかりません。
 本番でりっちゃんを支えてくれたのは竜宮小町の3人と昔のファンの人たち。あずささんはファンへのお詫びとりっちゃんを紹介するメッセージを送ってくれました。あずささんは、8話でも誰でも包み込む包容力を発揮していて、やっぱ765プロにおける母性なのです。伊織と亜美もステージに立とうとするりっちゃんを応援してくれます。普段は言わないような感謝の言葉を聞くことができました。きっと二人の本音なのでしょう。そうして三人に応援されてりっちゃんはステージに向かいます。が、自分が一度も経験したことのないほどの大勢の観客の前に立って、緊張で声も上ずってダンスもぎこちなく、別の意味でまさに「いっぱいいっぱい」でした。そんなとき目にしたのは、伊織と亜美が招待した、律子が昔アイドルをやっていた頃のファンの人たちでした。正直、このシーンは涙が出ました。
 ライブが終わって、りっちゃんは、自分の居場所はステージの上じゃない、光を浴びて輝くのは伊織や亜美たちの仕事で、自分の仕事は彼女たちをもっと輝かせることだと実感したと言っていました。自分はアイドルじゃなくプロデューサーをやるのだという、かつて自分の意思で決めたことの再確認。プロデューサー業への転向を決意するに至った経緯はきっと描かれないのでしょうが、知りたかったですね。
 もうひとつ、この話でりっちゃんが確認したことは、竜宮小町のメンバーとの友情というか絆というか、いわゆるそういうモノです。ライブのシーンのあとに冒頭の練習風景の繰り返しが挿入されますが、その中に冒頭にはなかった、いつか竜宮小町がトップに立つと信じている、というセリフが入ります。あずささんの代理をやらないかと美希に声をかけたときに、美希が「ミキが入るより、律子さんが入ったほうがもっと竜宮小町だって思うから」と、そしてあずささんも電話で「やっぱり伊織ちゃんと亜美ちゃんと私と律子さん、4人で竜宮小町ですもんね」と言っていたように、りっちゃんは自分は竜宮小町のプロデューサーであると同時に、竜宮小町の一員でもあるということを、今回のライブで伊織たちに応援されながら実感しました。そして普段みんなを支えているりっちゃんが、逆にみんなに支えられることで、お互いに尊敬しあう仲間なんだと再認したのです。最後のセリフは、自分も頑張るよ、一緒にトップに立とうね、ということですね。こんな感じの描写は6話でもありました。りっちゃんではなくPに関するものです。Pが春香のキャラメルをきっかけとして、自分がアイドルたちに支えられていることに気付いた。ひとりで頑張るのではなくてみんなで頑張ろうと。りっちゃんは別にひとりで頑張ろうとしていたわけではないのですが、6話ではP、18話ではりっちゃん、同じプロデューサーとしての二人が、プロデュースするアイドルたちが自分を支えてくれていることに気付いた話ですね。その辺の構造を考えると、視聴者にとっては、Pがりっちゃんが対等になったことを改めて示してくれた回でもあったかもしれない。
 あと、今回はPが目立って活躍してなかったんですけど、もちろんりっちゃんのプロデューサー業務を引き継いでいたのでしょうが、視聴者に見える形では特に何もしていませんでした。他のアイドルに対してのPのように、りっちゃんを応援して励ましてくれたのは、竜宮小町のメンバーでした。ファンを呼んだのも小町の2人。というのは、律子はあくまでも竜宮小町のプロデューサーであって、竜宮小町の一員であって、今回のステージでも代役のゲストであり、彼女はPにプロデュースされるアイドルじゃないのです。だからPは必要以上に手も口も出さなかった、出したのかもしれないけど、描写はなかった。ライブ後の会話での、りっちゃんのセリフ「もしも私が、やっぱりステージが忘れられない〜」はおそらく冗談でしょう。Pの返事もありませんでしたしね。Pがこの話でりっちゃんのプロデューサーになることはなかった。二人の関係が「アイドルとプロデューサー」になることはないということです。ここは見直したときに気付いたんですけど、二度目の視聴で一番「おおっ」と思ったのはここだったりします。