チクル妄想工房

サークル「小公園」の仮拠点です。ガムベースの作ったものを載せたり、他人の創作物への感想を書いたりしています。

春香さんは本当に素敵な人です

 前の記事では春香さんに対する理解があんまりだった。まずは春香さんは決して「強いことが言えない子」ではないということ。13話を見直して、春香さんの態度はそうした臆病さからくるものではない、とわかりました。言うべきところで言うべき言葉を持っているときには、きっちりと言う。言えなかった場面では、春香さんの中に言うべき言葉がなかっただけのこと。だから、12話や14話どうして春香さんは言葉を持てなかったのか、ということを考えなければいけなかった。ごめんね春香さん。これから少しずつゆっくりと考えていこうと思います。
 春香さんがアイドルになりたいと思った理由は「憧れ」、つまり春香さんにとっては、アイドルになることそれ自体が目的です。弛まず努力しているのも、だからです。自分を変えたいとか認めさせたいとか、そういう目標を別に持ってるみんなから見れば、深く悩まずにひたすら頑張ってるだけの春香さんは楽天家に見えるかもしれないけど、春香さんにとっては「アイドルになること」すなわち「頑張ること」がすべてだから、そうするしかないんです。11話での「早くあんなふうになりたいよね」発言もそんな感じ。
 12話で美希がしばらく来なかったことに対する反応は、春香さんだけが特別ではないですね。心配していましたよ、でも帰って来てくれればそれでいいんですよ、というのはアイドル活動は別として友達として仲間としてまた一緒に仕事できるからよかった、くらいの反応でしょう。ひとり千早が強い口調で叱ったのは「仲良くやる」だけではなく「よりよいライブ」にしなければいけない、ということを、春香さんとのやりとりで決意したからだと思う。あのセリフは美希には自分の責任を取ってもらうという意味合いにもとれます、各人が自分の責任を果たさなければいけない。千早はそうした思いで仕事に臨んできた。いつも努力を欠かさず、ひたすら高みを目指す千早は妥協を許さないんですね。
 13話の春香さんのセリフ「いまはお客さんにどう見られるかより、自分たちが何を届けたいかを考えることにしない」。練習でも本番でも、精一杯やることに迷いがない。春香さんにとってアイドル活動ってのはそうすべきものなんです。春香さんの「技術が未熟でも気持ちさえあれば通じる」という考え方、4話の時点で千早が学んだことと近いと思います。どんなときでも一生懸命にやるということ。4話で千早は自分のやりたいことではない、しかも苦手な仕事をやるはめになってふてくされ気味でしたが、あの回で千早も成長したと思われます。千早は春香さんから、主にその辺りを学んでいるのでしょう。今回千早が美希に怒ったのは、4話での経験があったせいもあるでしょうね。
 14話の反応も改めて見てみると難しいです。美希の「ミキたち、負けてないって思うな」のセリフはきっと、美希の自分自身への自信もあるでしょう、あのライブでは美希は12話を乗り越えて頑張ったわけですしね。竜宮小町みたいにキラキラできて、美希も自分の歌と踊りに満足できた。間違いなくいいライブだったと確信してる。961プロからの嫌がらせに対して、腹を立てる子、残念だなあと思う子、そうでない春香と美希、業界人としての立場で見守るPと律子。アイドルとして正々堂々勝負すればいい、というPのセリフは美希の言葉を言い直したもので、春香はそれに頷きます。が、考え直したのですが、美希が口を挟まなかったとしたら、春香は「私たち負けてないと思う」と言ったのだろうか?と。やっぱり言わなかっただろうと思うんです。春香にとって勝ち負けを決めることはそんなに重要なことじゃない気がする。春香さんは961プロに仕返しすることがよくないことだとは分かっていたけれど、「私たち負けてない」なんて考え方はできなかった。仲間がよくない方向に進もうとしている、だから止めなきゃ、というだけだったかも、と思います。
 20話で見るべき人は、もちろん千早もなんですが、僕にとってはやっぱり春香さんなんですよね。春香さんが特別に好きだからなんですけど。下の記事ですでに書きましたが、あの話は春香が「自分がどう思われているか」を意識させられた回です。13話でみんなに向けた言葉「いまはお客さんにどう見られるかより、自分たちが何を届けたいかを考えることにしない?[……]ちょっとくらい不格好でも、自分たちができること、会場の隅から隅まで届けようよ」がまさに春香さんのアイドルに対する姿勢そのものであり、普段の生活における考え方でもあります。これが14話で戸惑ってしまう原因になりました。20話では春香さんの仲間思いなところと、このセリフに現れている春香さんの考え方が千早とのすれ違いを生んでしまう。傷ついた千早にずっと付き添い、閉じこもってしまった千早を迎えに家に出向きもしたのですが、「おせっかいはやめて」と追い返されてしまう。がむしゃらに行動するだけではいけないのだろうか、と不安になってしまいます。春香さんは自分がいままでしてきたことが皆にとって本当は迷惑だったのではないかとPに相談します。(アイマスのパターン「アイドル悩む→Pがアドバイス→啓発」)。春香さんはおせっかいでもいいんだ、と、気づくことになります。開き直るといった感じかもしれない。このあと千早の家に再び出向いて、今度はインターホンではなくドア越しに千早に話しかける。「おせっかいだってわかってるよ」と言いますが、春香さんはもう遠慮しない。おせっかいと思われようとほっといてと言われようとかまわない、とにかく千早に思いをぶつけます。千早がその場で拒絶しようが、春香さんは引かない。誰かを思いやることに春香さんはもう迷うことはありません。それはこれまでのように気付かない気にしないのとは違うんでしょう。おせっかいに思われたとしても、相手が励ましの言葉を必要としているときは声をかけてあげる。友達想いの春香さんはきっとそうする。
 春香さん、好きです。